桜乃が教室に入ったのは、ちょうどクラスの男の子達が写真集を広げて
楽しそうにああでもないこうでもないと騒いでいる時だった。
目に飛び込んでくる、水着姿のスタイル抜群でグラマーな女性。
「あー!!何よその雑誌!!いやらしい!!」
呆然としている桜乃の横で、朋香がそう叫び、男の子達を追っ払った。
「もう、教室であんなもの見ているなんてデリカシーないんだから。・・・って、桜乃?」
呆然と立ち尽くしたままの親友に、朋香は不思議に思ってその顔を覗き込む。
「・・・どうしよう・・・」
泣きそうな声で、桜乃が呟く。

「私、あんなに胸ないよう・・・」



大きいのがお好き?



「で?桜乃、誰かに胸が小さいとか言われたわけ?」
「そういうわけじゃ、ないけど・・・」

学校の屋上でお弁当箱を広げながら、中間休憩での出来事とそれを見たときの
桜乃の発言について、2人っきりで話をしていた。
「ただ、やっぱり男の子は、その・・・胸が大きい子の方が、いいんだよね・・・?」
自分の発言に赤くなりながらもそう話す桜乃を、朋香は可愛いなぁもう、と思いながら眺める。
「それは、人によるんじゃない?そりゃあ、大きい方が好きな人もいるとは思うけど・・・」
そこまで言って、はたと朋香は気付く。
桜乃が気にする相手はただ一人だ。

「・・・もしかして、リョーマ様がそう言ったの?」

「ちちち、違うよ朋ちゃん〜っ!リョーマ君はそんなこと言ってない、けど・・・」
「けど?」
問い詰める、朋香の視線。
昔から桜乃は朋香には隠し事が出来ない。
いつもこうやって見つめられて・・・リョーマが好きだと気づいた時も、告白された時も、
こんな風に問い詰められて白状させられて、「何で早く言ってくれなかったの?良かったね桜乃!」
と思いっきり抱きしめられたものだ。

「・・・言ってないけど、リョーマ君も男の子だし、もしそうだったらどうしようと思って・・・」
しぶしぶ、そう思っていたことを告げると、朋香は一瞬の間ののち、「あはは!」と大爆笑した。
「笑うなんて酷いよ、朋ちゃーん・・・」
「ご、ごめんごめん。だってそんなこと心配して・・・。もう、桜乃、可愛いなあ・・・」
目元を拭っている所を見ると、涙を流すほど可笑しかったらしい。
ぷう、と桜乃がふくれると、だからごめんって、と朋香が手を合わせてくる。
「だって、リョーマ君が・・・もし、胸の大きい子が好きで、私が小さいの知ってがっかりしたら・・・」
そこまで言って、しゅんとしてしまう桜乃に、ようやく朋香は笑うのを止める。
まったくリョーマの意見を無視した勝手な話だが、それでも桜乃は真剣に悩んでいるのだ。
こういうところが、純粋で可愛いのだと朋香は思う。
だからこそ、リョーマだって桜乃を見初めたのだろうが・・・。
しかしながら、リョーマはそんな胸の小さい大きい程度で一喜一憂するような単純な子どもではないと、
朋香は思った。
リョーマファンの自分が言うのもなんだが、彼はもっと大人で凶悪だ。

「心配するなら、ちゃんとリョーマ様に聞いてみればいいわよ、桜乃」
「聞いてって・・・!!出きる訳ないよ〜っ」
「じゃあ、代わりに聞いてあげる。そろそろ頃合いだし」
「え?頃合いって・・・??」
何のことか分からず目をぱちくりする桜乃に、いいからいいから、と朋香はかわしてしまう。
すると、ぎい、と屋上に通じる扉の開く音が聞こえ、そこからひょっこりリョーマが顔を出した。

「桜乃」

開口一番そう告げるリョーマに、朋香は内心呆れながら、「桜乃ならここにいます」と告げる。
「あー・・・。食事中?」
「私はもう終わるんで、そうしたらどきますよ。それよりリョーマ様、質問があるんですけど」
「?」
「えええちょっと朋ちゃん!?」
「リョーマ様、胸の大きい子ってタイプです?」
「・・・は?」
朋香の質問に、リョーマはいきなり何?という感じだ。
ほらね、全く興味なんか持ってないし、見せないし。
「リョーマ様が胸の大きい子がタイプなんだったら、自分は嫌われちゃうって、桜乃が心配してたので」
全部吐き出してしまった。
ともちゃあん、と背後で桜乃の泣きそうな声がする。
その様子を見て、なるほどね、とリョーマが納得したように嫌な笑みを見せた。
明らかに何か企んでいる顔だが、朋香は気が付かなかったことにする。

「じゃあ桜乃、私は先に教室戻ってるからね。後はごゆっくりv」

しっかり意味深な言葉も残しつつ、朋香はリョーマと入れ替わるようにして屋上を去った。



「桜乃」

屋上にぽつんと残された桜乃に近づきながら、リョーマはそう声をかけた。
桜乃はびくん、と反応し、「ちちち、違うの」と真っ赤になりながら両手をわたわたと振っている。

「さっきの質問の答え・・・桜乃は気にならないの?」

ぴたり、と桜乃の動きが止まった。
本当に分かりやすい。
リョーマはすたすたと歩いて、桜乃の前に立った。
「桜乃?」
「・・・気になる」
促すと、上目遣いでリョーマを見上げながらの一言。
よく出来ました、とリョーマは座り込んで桜乃と視線を合わした。

「正直胸がでかすぎる女は気持ち悪い」

「・・・え?」
「だって何か牛みたいじゃん、でかすぎると。うんざりする」
あっさりそう言い放つリョーマに、桜乃は呆気にとられた。
ぽかん、とする桜乃に、リョーマが意地悪い笑顔で尋ねる。
「でも、桜乃がそんな風に気になるってことは、桜乃はもう少し大きくなりたいってこと?」
「えっ・・・!べ、別にそういうわけじゃ、ないけど・・・」
「いいよ別に。何なら大きくするの手伝ってあげてもいいけど?俺って親切だから」
「て、手伝うって・・・?」
「知りたい?」
満面の笑みのリョーマに桜乃は嫌な予感がし、後ずさりながら尋ねた。
こういう風にリョーマが笑う時は、大抵ろくなことにならない。
ようやくそれを学んだ桜乃だったが、如何せん相手がまずかった。
逃げられるわけがない。

「じゃあ早速、試してみる?」

後ずさりする桜乃を捕まえ、押し倒して。
不敵な笑みを浮かべながら、リョーマが言った。



「・・・リョーマくんのエッチ」


END


胸って揉むと大きくなるって本当かしら。
でも聞くところによると、思春期の間しかその方法は使えないみたいですけどね。
私は桜乃のサイズはA65だと勝手に思ってます。

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