爪を切る
クリス君は最近、私の爪を切ることにはまっているらしい。
「危ないから、急に動いたらあかんよ?」
そう言いながら、恭しく私の手を持ち上げる。
まるでガラス細工に触れるみたいに大事そうに触れる感触は、実はかなりくすぐったい。
ぱちん、ぱちん、と爪を切る音が響く。
彼の目はとても楽しそうで、でも真剣で。
手をじっと見られていることがかなり恥ずかしく未だに慣れない私は、彼の作業中ついついそっぽを向いてしまう。
切り揃えた後は、丁寧にブラッシング。
最近友達に綺麗な手だねと褒められるのは、十中八九彼のおかげだと思う。
「はい、できあがり」
最後に爪の一つ一つにキスを落として・・・
っていうのは本当に欧米人だなあという感じで。
毎回、顔から火が出そう。
「あ、ありがと・・・」
「どーいたしましてv爪が長かったら困るんは僕やし」
「・・・?困るって・・・?」
そう言いながら、まだ手を離してくれない。
あああだからそんな丁寧にキスしなくてもっ・・・!
「背中の傷は男のくんしょーだけど、僕が痛いって言ったら、君が気にするやん?
だから、君が遠慮しなくてもいーように」
「え?」
それってどういう意味?って聞いたら悲しい顔されてしまった。
何でだろ?
私は指と爪と背中が好き。エロくないのにエロい、そんな文章を目指したかったんですが。
クリスじゃなくて、瑛とかだったらまた違うパターンなんだろうな。