天然ガール
「で?その後どうなの真咲。その後輩とは?」
少し軽くなった財布を恨めしそうに眺めながら、桜井は言った。
そいつの様子に俺はざまあみろと思いつつ、食堂で一番高いネギトロ丼へと箸を伸ばす。
「どうって何も変わってないっつーの。お前の台詞にもクエスチョンマーク飛ばしてるだけだったし」
あの時の彼女の様子を思い出す。
不思議そうに首を傾けていたが、気付いていなかったようだった。
全く彼女は鈍いというか何というか・・・。
まあ、そこがいいんだけど。
気付いて欲しいような、そんな気もする。
「バイト先でも一生懸命してる様子も変わらないし、相変わらずデートに誘えば頷いちゃうし、
学校の話には知らないやつの名前がちらほら出てくるし・・・」
「デートしてくれるなら、脈ありなんじゃねえの?」
「それがわかんないんだよアイツの場合。本当にもう・・・」
思わせぶりに恋愛のことを聞いてくるかと思えば、深くは追求してこないし。
キスの話をしたかと思えば、あの時の事故は覚えてないし。
「マジでわかんねえ・・・」
天然にも程があるぜ。
頼むよ、本当に。
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