待っててね
「もうすぐ遊くんも中学生だね」
ある日曜日の午後、感慨深げに彼女はそう言った。
彼女にしてみれば、オレは近所の小学生。
「大きくなったもんだなあ・・・」なんて親戚のおばさんやおじさんと同じような事を考えているに違いない。
現に「時が経つのは早いね」などと言っているのだから。
「そうだよ。おねえちゃんなんか、あっという間に追い越しちゃうよ!」
えっへん、とそう言うと、「そうかなあ」などと笑っている。
オレが追いつくところなんか、想像もできないみたいだ。
そうだろうな、なんてったっておねえちゃんは天然なんだから。
だから、こんなに綺麗で可愛いのに、未だに恋人がいないんだ。
最初は「もったいない」って思ってたけど、最近はそれでよかったなんて思ってる。
だって、まだオレが恋人に立候補できるってことだからね!
・・・まだ小学生だから、さすがに立候補できないけどさ。
「制服ができたら、一番に見せてあげるよ」
「うん、楽しみにしてるね」
にっこりしながら頷くおねえちゃんに、オレもにっこりする。
その時は、ちゃんと、一人前の男として告白するからね?
「本当に、楽しみに待っててよ!」
遊くんはかなり前から計画してたんじゃないかなあ。あの告白シーン。
どうしてスチルがないのだろうと恨めしくて仕方がありません。