風邪
油断した。
季節の変わり目は体調崩しやすいってわかってたはずなのに。
急な発熱でダウンしてしまうなんて。
「・・・1人暮らしで寝込むと最悪だな」
メールを見てすぐに飛んで来てくれたらしい幼馴染が、ぶっきらぼうにそう言い捨てる。
長年の付き合いでコイツの性格を分かっている俺は、心配したのを隠しているのだと気付いて、思わず笑ってしまった。
・・・ああ、笑っただけで頭がずきずきする。
「メールで言ってたポカリと風邪薬、ここに置くから」
「サンキュ。代金はその机の上に置いといたから持ってけ。マジ助かった」
「あとお袋が食えって。雑炊。自分で温めろよ」
「おー。おばさんに助かりますって伝えておいてくれ・・・」
「・・・お前声もやばいぞ。医者に行ったほうがよくないか?」
もろもろの品をベッドの横や台所やらに置いた幼馴染は、顔をしかめて俺の方を見る。
朦朧とした頭で「大丈夫大丈夫」と答える俺は、その表情もよく見えていない。
「今日寝たら復活するから。本当、ありがとな」
「・・・海野は?」
知ってるのか、と問うアイツに、言ってない、と首を横に振る。
「うつすわけにいかないからなー・・・」
「・・・俺はいいのか」
いいんだよお前は丈夫だから、というと、もう来てやらないぞと怒った顔をする。
それでもきっと次も来てくれるだろう優しい幼馴染に、俺は感謝した。
「ありがとうな、勝己」
そう言うと、幼馴染は照れたようにそっぽを向いた。
幼馴染で。カプ以外の話ははじめてかも?
一応下地として真咲×主。それを知ってるから「海野は?」と志波は聞いたのです。