「泣くな、泣くな。お母さん来るまで、一緒にいてやるから」

そう言って女の子を慰める真咲先輩の目を見て、はっとした。

見覚えのある目。

その優しい目を、私は知っている。

そう、この人はいつも、そんな目で私を見ている。

私にだけ優しいのかと思ってた。

可愛がられてるのかななんて思い込んでいた。

だけどそんなのは全部私の勘違いで。

そう。

この人は今までずっと、私のこと妹のように見てたんだ。

ようやく気付いた。

「なーんだ･･･」

思わず呟く私に、先輩は「え？」という顔で振り返る。

女の子のお母さんはすぐに迎えに来た。

手を振って去っていく女の子に、これまたいつもの優しい顔で先輩も手を振って。

その顔を見ながら私は一つ決心する。

「私、大人の女になります！」

「はあ･･･？何だあ、どうした、急に」

妹じゃなくて、後輩じゃなくて、ちゃんと対等に見てもらえるように。

本当に特別になれるように。

大人の女になって、誘惑します。だから。

先輩、覚悟してね？