会長
「氷上会長!」
嬉しそうに名を呼ばれ、思わずその場にがくっと崩れそうになる。
確かに僕は現在会長を務めているが・・・。
「・・・海野君」
生徒会の中でならまだしも、プライベートな場で君に呼ばれるとは思ってなかった。
何だか面映くて、やめてくれと言いそうになる。
「なあに?この呼び方、駄目?」
小首を傾げられ、いや、と首を横に振った。
嫌というわけではない。
彼女なら、どんな風に呼ばれても大概許せると・・・思ってはいるのだが。
「いいの?やった!じゃあ、氷上会長、今日一緒に帰らない?」
にこにこと言う彼女にノーと言えるわけもなく。
嫌だと言うわけじゃないんだ。
だが、僕を変えてくれたのは君だと言うのに。
そんな君に、そんな風に呼ばれることに、戸惑うだけなんだ。
「氷上会長、どうしたの?」
「・・・何でもないよ。さあ、行こうか」
確かに僕はこの学園の会長だけれど。
僕を会長にしてくれたのは君だってこと、知っておいてくれ。
たまには短くあっさりと。
氷上くんはあれで実は謙虚な男だと思っています。