会いに来て



「あのな、会いに来てほしいねん」



いつもなら「あかーん、危ないやんかー」と言うはずのクリス。

だから、受話器のむこうからそんな彼の声が聞こえてきて、正直びっくりした。



彼から届いた飛行機のチケット。

彼の住む国に降り立ってすぐ空港から電話すると、「すぐ行くから待っといてや〜」と彼は言った。

本当にすぐ迎えに来てくれて、再会のハグ。

日本でなら恥ずかしくて拒否する公の場でのキスも受け入れる。



「早速やけど、行きたいところがあるねん」



そう言われ、車でその場所へと向かう。

初めて見る風景。



「絶対にこの場所で言いたかってん。ほんまやったら、僕から行かなあかんかったのに、来てくれて嬉しかったわ」



そう言って恭しく手を出し、私を車から降ろす。

立った場所に既視感があった。

そうだ、いつだったか彼がアルバムで見せてくれた気がする。



「僕が一番、この国で好きなところ」

そう言って、彼はにっこり微笑んだ。



「僕の大好きな場所を、君も好きになって、暮らしてほしい。これからはずっと、僕のそばに居てくれる?」



彼の言葉に、私は頷くより先に腕の中へと飛び込んだ。










突然風呂の中でひらめいたクリス話。
ちょっとプロポーズ話が流行ってました私の中で。次は誰にしようかなー。


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